111-1徳永薬師平須恵器（蓋杯）

　■　須恵器（蓋杯）
　この須恵器（坏身・坏蓋）２組は、昭和４０年ごろ薬師平多賀神社の下段北寄りの「シンヅカ」と呼ばれている場所から出土したものの一部で、神社に保管されていたのを昭和４７年１１月村史編集委員が神社調査の際発見し、翌年６月名古屋犬学文学部考古学教室大参義一氏の鑑定を受けた。
　この２組の須恵器坏身、坏蓋はほとんど同形である。砂目のある胎土で灰白色、造り、焼成ともに良好である。坏身は口径１２.８�p、高さ５.２�p。口径は同寸で高さ４.５�pのもの、坏蓋は口径１４.２�p、高さ４.６�pのものと、口径１４.８�p、高さ４.７�p　　のもので正しいセットをなしている。
　この須恵器は６世紀中頃のもので、同所で同時に発見された七鈴五獣鏡や、この須恵器が副葬されていた古墳の編年決定に重要な役割りを果たした。特に薬師平古墳の実物が確かめられない今日、唯一の裏付け資料として、また同時代築造である対岸の福田古墳との関連を調査するためにも重要な資料である。